蒼き愛しの君




(1)

「はぁっ・・・はぁっ・・・今日は厄日?」
セントラルタワーの屋上ヘリポートの荷物の影に身を潜めながらそう呟いたのは
このタワーの救世主であり《蒼き英雄》と伝説になっているエックスだった
いつものアーマー姿ではなく、ホットパンツにタンクトップというどこにでもいる少年のような服装をしている


今日は「ギミアラ採掘所」でシャドウを倒し
体勢を整えなおすため一旦ハンターベースに戻ってきたのだが
それがエックスにとって災いの始まりだった
別に任務の途中で引き返してくることは珍しくはないのだが・・・
事の発端はスパイダーの思いも寄らない《プレゼント》だった


「エックス、これやるよ・・・」
いつものように司令室から出てきたエックスにそう声をかけたのはスパイダーだった
そういう彼の片手には淡い蒼の薔薇の花束・・・
「綺麗・・・」
「ブルーヘヴンっていうらしい・・・」
エックスに花束を渡しながらそうスパイダーは囁く
「青い天国・・・かぁ・・・」
薔薇を見つめるエメラルドの瞳がため息とともに揺れる
「やっぱりな・・・」
「?・・・なにが『やっぱり』なんだ?」
エックスの瞳がスパイダーそれに向けられる
そこにあるのは深紅の輝き・・・
「お前に似合いそうだなぁと思って買ってきたんだ。思ったとおりだった。」
ウインクをしてそうスパイダーが答える
「ありがとう」
エックスが微笑んだ
「スカイルームに飾ってくる・・・」
そう言って振り返ろうとするエックスだったが
スパイダーが彼の肩を手で掴みそれを制した
「何?」
「その前に・・・」
スパイダーは悪戯っぽく笑うと唇に人差し指を当てた

そして

「ご褒美v」
と言うなりエックスの唇にチュッと小さなキスを1つ
「〜〜///!」
されたエックスといえば可愛いくらい真っ赤に顔を染めている
と・・・
「ぁあああ!!!!」
スパイダーの背後で上がった子供の叫び声
次の瞬間にはスパイダーとエックスの間に割って入り
距離をとらせようとエックスの肩を押していた
「アクセル?」
割って入った影を認めるとエックスは戸惑い気味に名前を呼ぶ
対するアクセルといえば、どこからか取り出したハンカチでエックスの唇を拭っている
「エックスってば、油断しすぎなんだよ、特にこの賞金稼ぎさんの前で!!」
「スパイダーって呼べって言ってるだろうが、チビガキ」
ふっと鼻で笑いながらスパイダーは帽子のつばを持ち上げる
「そっちこそ!!ガキじゃないって言ってるだろ!!それもと年取りすぎて耳遠いの!?」
「お子様が色気づくにはまだもうちょっと早いと思うぜ、な、エックス?」
言うが早いがエックスの普段はアーマーに覆われている白魚のような手に唇を落とすスパイダー
「僕だって自分の出生の秘密がわかったら、青年型に改造してもらうんだ!!」
さらにムキになるアクセル
それをからかうスパイダー
そんな2人を微笑みながら見つめるエックス
そして・・・
「何を騒いでいるんだい?」
「え?」
聞き覚えのある声にエックスが振り向くと
エアバス乗り場の扉から出てきた長身の影・・・
その蒼闇の瞳が大きく見開かれる


「エックス!?どうしてこんなところにいるんだい!?」





続き

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