愛する者への鎮魂歌







「ここは・・・?」


彼は髪をかきあげる

柔らかい茶色の髪が手に触れた

彼がいるのは暗闇

一寸先さえ見えない漆黒の闇

しかしそのはるか彼方

光が見えた

蒼い光


無意識のうちに彼は歩く

光に向かって・・・


光に近づいてゆくにつれどこからか歌が聞こえた

高く低く流れる旋律

誰かの死を嘆く歌

誰かの死を悼む歌

誰かに逝かないでと告げる歌



光が人の形をとる


鮮明でないが輝く手が彼に差し伸べられた


(俺のために・・・泣いているのか・・・?)


彼は静かに伸べられた手をとった





真白い天井が1番最初に見えた

上から覗きこんだのは・・・年老いた顔


「目が覚めたかね、ヴァヴァ」

「てめぇは・・・ケインのジジイか?」


彼は悪態をつきながらそう言った

Dr.ケイン

エックスとゼロを除く全てのレプリロイドの創造主


「どうやら記憶回路は無事のようじゃな」

老人は微笑んだ

彼は体を起こす


ヴァヴァ・・・

第一次シグマ大戦

Dr.ドップラーの反乱

2つの事件においてシグマの片腕として働いたレプリロイド

否・・・イレギュラー


「誰が歌ってる?」

ぶっきらぼうに彼が問う

「誰・・・とは?」

Dr.ケインがとぼけたように聞いた

「歌が聞こえた・・・俺を呼ぶ歌が・・・」

「歌・・・ああ・・・あの歌じゃな」

Dr.ケインは天井を見上げる

「屋上で今も唄っとるはずじゃ・・・
誰が歌っているのか自分で確かめたらどうじゃ?」

Dr.ケインはにこにこと笑いながら彼を促した




ひそひそと俺を見るたびに囁くハンターども・・・

俺が甦ったことが不服なのか苦虫を噛み潰したような顔をする奴もいる

しかし破壊したい衝動は歌にかき消され

俺の足を真っ直ぐに屋上へと向かわせた


開けた視界

銀のフェンスに囲まれた箱庭

その片隅に立つ小さな影

「おまえか・・・?歌を歌っていたのは?」

影が振り返り

歌が止む

「ヴァヴァ・・・よかった・・・目が覚めたんだね」

ふっと微笑む碧玉の瞳

壊したくて仕方がなかった宝石・・・

「エッ・・・クス・・・」

影の名を俺は呼んだ

コワシタイ・・・

誰よりもそう思ったあいつの名を・・・

「俺の歌・・・聞こえてたの・・・?」

「ああ・・・一体どういうことだ?敵に塩でも送ったつもりか?」

俺はわらう

「そんなつもりは無いよ・・・けど・・・」

エックスの瞳が空を映した

「僕にはもう誰もいないから」

絶望に満ちた声が響いた

「誰もいないだと?あの紅いやつがいるだろう?」

俺を倒そうと己の命までをも犠牲にしたあいつが・・・

お前の心を捕らえているだろう?

「彼には別の人がいるから・・・」

悲しそうな笑顔が俺に向けられる

そして、視線で地上を指した

フェンス越しに覗き込めばそこにはあいつと亜麻色の長髪をした女・・・


なるほど・・・


その風景を見て俺はこいつの言った言葉の意味を理解する

しかしどうしても解せないことが1つ・・・

「そんな理由で俺に歌を歌ったのか・・・?」

誰もいないのなら1人でいればいい・・・

俺をわざわざ闇の深淵から呼び戻す必要は無いはずだ

「君がいなくなるのが・・・いやだったから・・・」

「なに・・・?」

俺は問い返す

「君がいなくなるのが嫌だったんだ・・・
敵のまま・・・もう二度とあえなくなるのが」

嫌・・・?

俺はお前を殺そうとしたんだぞ・・・?

一体何を考えてやがる・・・

「お前は馬鹿だな・・・」

俺は言った

「俺はお前を殺そうとしたんだぞ・・・」

「それでも・・・もう一度会いたかった・・・」

ゆっくりと微笑まれて俺は言葉を失う

満面の笑顔・・・

太陽の光に映えるその笑み・・・

俺はあいつに近づいた

闇から抜け出したあの時のように・・・

「どうしたの・・・?」

俺を見上げてくるエメラルド・・・

その瞳に引き込まれるように

俺はエックスの唇に口付けていた

濡れた音を立てて口腔を貪る

「んっ・・・」

俺はそのままエックスの背を屋上のフェンスに触れさせる

そして服にゆっくりと手をかけた

「ヴ・・・ヴァヴァ!?ここ・・・外・・・」

「下にいるあいつに見せ付けてやればいいだろう?
お前が誰に抱かれてるのか・・・
お前が誰のものなのか・・・」

俺はそう囁いて服を剥ぎ取る

日の光の中に曝け出された白い肌

その体の所々にできた真新しい傷跡は覚えがあった

俺がこいつに銃撃を浴びせた個所・・・

綺麗に修復されているものの、やはり周囲の肌とは若干色が違う

「すまなかったな・・・」

自分でも驚きだが謝罪の言葉が己の口から出た

傷跡に軽く口付ける

手を忍ばせ下肢を覆っていた衣類も全て取り払うと

細い体のラインが露わになった

「やっ・・・」

慌てたように服を拾おうとする両手をベルトで戒めフェンスにくくりつける

「ヴァヴァ・・・」

潤んだ瞳が俺を見つめる

何かを訴えたいのだろうが

それは欲情をただ煽る行為だった

俺は胸の突起に舌を絡める

「ふっ・・・」

甘い吐息が耳をくすぐった

もっと声を紡ごうと軽く歯を立てる

「ひゃぁっ・・・んっ・・・あんっ」

女のような快楽を得た声が聞こえた

「女みたいだな・・・」

俺は唇を離すとそれを手で弄ぶ

「ゃっ・・・いわなっ・・・あ・・・ああ・・」

「いいのか・・・?あんまり大声を出してるとあいつが見に来るぞ・・・」

俺はエックスの目の前で嗤う

「ゼロに見られてもいいのか・・・?」

俺がくくっと喉を鳴らすとエックスの瞳が見開かれる

「やぁ・・・」

激しく首を左右に振った瞬間

俺は手で弄んでいたそれに容赦なく歯を立てた

「いたっ・・・あ・・・ああ・・・」

頬に銀の雫がはらりと零れる

俺はするりと下肢に手を伸ばし・・・

すでに勃ち上がったそれに触れる

指を絡ませてやれば顔が真っ赤に染まった

「は・・・はなしてっ・・・」

自由なままの下肢をばたつかせ、抵抗しようとしてくる

だが俺は抵抗を無視し・・・

手をそれにはわせ、ゆっくりと愛撫を施しはじめた

上がる熱

ますます紅くなる頬

「イイんだろ・・・?」

俺がそうきくと、エックスは赤面したまま下を向く

それが腹立たしく・・・

俺は手に力を込めた

「イタッ・・・」

刺激に白い裸体が仰け反る

俺は上を向いた紅く潤んだ唇を貪った

同時に下肢への愛撫も再開する

「んっ・・・ヴァ・・ヴァ・・・ぁ・・・」

甘く上擦った声が晴天の空に響く

そして

「あ・・・ああっ!!」

甲高い叫びとともに白濁した液が飛び散った

肩で息をしたまま、恍惚に満ちた表情が俺を見つめる

先ほどまでの清純な雰囲気とはかけ離れたエックスが・・・

「ヴァヴァ・・・」

甘露にかすれた声で名前を呼ばれ

今まで感じたことのない感情が湧きあがってくる

そして・・・破壊とは別の衝動が・・・俺の中で目覚めた

白い下肢を持ち上げ・・・秘所に指を忍ばせる

先ほどのぬめりで湿り気を帯びているそこは簡単に指を飲み込んだ

「んっ・・・」

妖艶な声が耳を突く

熱く潤んだ内壁を軽く撫でると喘ぐ声がさらに妖艶さを持ち始めた

「はぁっん・・・んっ」

銀の雫が頬を伝う

「あっ・・・だめっ・・・あ・・・はぁんっ・・・」

ガシャガシャとフェンスが鳴った

「静かにしてることだな・・・下の奴等が気付く・・・」

指を増やしながら俺は言った

「お・・・ねがい・・・ヴァヴァ・・・」

内部を弄んでいる俺の耳元でふわりと囁かれた小さな声

「どうした?」

俺が問うと濡れた声が続けた

「手・・・」

そう一言だけ囁かれる

手・・・?

俺はふと戒めたままの手を見ると手首にくっきりと紅い痕がある

先程からずっとこの腕だけで体重を支えていたのだから当然だが・・・


「イタイか?」


そう聞くとエックスが首肯する

俺は下肢を支えたまま、そのベルトを外してやった

するとその腕は俺の首に絡み付いてくる

「ヴァヴァ・・・」

気が付くと俺はきつく抱きしめられていた

そして柔らかな唇が俺のそれに触れてくる

俺の中で目覚めた衝動が確かなものへと変わってゆく

下肢に忍ばせた指を自身へとすり替え・・・

そのまま熱を交し合った








気が付けば空にあったはずの日が紅く輝いていた

先程まであった激しい情事の名残を残した少年の体が

夕日に溶け込むように火照っている

俺は着ていた上着をそっと上にかけてやった

と・・・

背後で扉の開く音が聞こえた

「エックス!!」

聞き覚えのある声がする

俺が振り返るとそいつの蒼い瞳が俺を射貫くように睨んできた

「ヴァヴァ・・・」

「久しぶりだな・・・」

俺は嗤う

「貴様・・・エックスに何をした・・・」

「こいつが1人で寂しいって言っていたから相手にしてやっただけだ」

俺はそう言って足元に横たわっているエックスを見下ろした

「貴様・・・」

「悔しかったら一人にしないことだな・・・」

そもそもお前が一人にしたのが悪い

俺はそう付け足した

そういうとあいつは俺に背を向け、ベース内へと戻ってゆく

悔しそうに顔をゆがめているのが見えた



「まったく・・・俺も丸くなったもんだな・・・」

誰も聴く者のいない呟きを発して髪をかきあげる

まさかこいつを抱くことになるなんて思ってもいなかった

夕闇の迫りつつある空を見上げると星が輝き始めている

すると・・・

「んっ・・・」

足元で横たわっていたエックスが目を開けた

「起きたか?」

「ヴァ・・・ヴァ・・・?」

「起きたなら質問に答えろ・・・」

俺は見下ろしたままそう続ける

「な・・・に・・・?」

ゆっくり微笑まれて一瞬言葉を失いかけたものの

俺は再度問うた

「何故・・・俺に歌を歌った?」

「ああ・・・あれは・・・」

体を起こしながらエックスが笑う

「好きだったから・・・歌った・・・」

「は?」

好きだった・・・?

「好きだから・・・君が死んだら悲しかった・・・だから歌ってた」

「鎮魂歌<レクイエム>をか・・・?」

俺は呆けたように問い返す

「うん・・・」

さらにニコニコと微笑まれて俺は言葉を失った

俺が壊したいと願ったものは・・・

俺を望んでいたというのか・・・?

「嫌だった・・・?」

笑みが一瞬悲しそうなものへと変わる

・・・

・・・

「いや・・・」

俺はそう言った

「よかった・・・」

エックスは再び笑みを取り戻す



そう・・・

戻って来て良かった・・・

なぜなら・・・



愛を知ることができたから・・・







リクエスト再UP品
微妙にラブラブ?ヴァヴァックスでした








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