定位置
定位置・・・
定められた場所
そんな場所が誰にでもある
俺の位置はあいつの隣り
蒼い輝きを持った天使の隣りだ・・・
そう・・・
奴が現れるまでは・・・
真紅のアーマーを纏った金髪の剣士と初めて会った時
嫌な感じがした
敵意だとか殺気というものとは違う
人間で言うところの『勘』ってやつだ
嬉しそうに奴の名前を呼びながら駆け寄っていくあいつの背中が
異様に明るく見えたのもそのせいかもしれない
まあ、そんなもんは事の前兆にしか過ぎなかった
「ふざけるな!!」
そう言って出て行く奴の背中をあいつが追いかける
その後を追うように外に出れば
2人で何か言い争っているのが聞こえた
俺達が信用できないとか・・・
言っているようだった
そしてそのまま奴はエアバス乗り場へ向かって歩みだす
あいつも慌ててその後を追う
今思えばそこで追うのをやめときゃよかった
抜け道を通り抜けて先回りし
セントラルタワーの一角に着いた
俺とあいつが出会った場所
あの時いた1F上の扉のところに俺はまた立っていた
見下ろした広場
そこに現れた紅と蒼
「待ってよ・・・ゼロ・・・」
蒼の天使のいつもと違う雰囲気の声・・・
いつもある張り詰めた声ではない
どこか甘えを含んだ優しい声
「そんなに・・・信じられないの・・・?」
「すまない・・・今は・・・」
振り返る紅の剣士
その声もさっきまでの棘は無く
どこか安らぎを得ている
「俺の・・・ことも・・・?」
あいつのやや俯きかげんだった顔が上がった
「っ・・!!」
今まで見せなかったあいつの表情
大きなエメラルドの瞳から伝う雫
その顔は本当に悲しそうで・・・
儚くて・・・
今にも消えてしまいそうに見えた
その小さな体が赤い腕に収まる
その背中に回される青い腕・・・
俺の知らないあいつがそこにいた
「・・・・・・」
「っ・・・」
何かを囁かれてその顔がまた別のものに変わる
幸せそうな・・・
安らぎを手にしている表情
「んっ・・・」
次の瞬間奴の唇があいつのそれを貪っていた
抵抗なんて無い
ただそれに酔いしれているような2人の姿
俺の入れる隙間なんて無い
俺の入れる位置なんて無い
あいつの横にはすでに紅蓮の騎士がいて・・・
あいつの白い翼を守ってる
あいつの笑顔を咲かせて
あいつをより魅力的にしてゆく
だけど絶対に隣りは奴
金の髪と氷の瞳を持った紅の剣士・・・
俺の定位置だった場所は奴の場所だったんだと・・・
そう教えられたも同然だった
「あいつにはすでにナイトがいたんだな・・・」
そう呟きながら俺は重なったままの紅と蒼を見下ろす
『何を悲しそうにする・・・』
《俺》が語りかけてきた
神を目指すレプリロイドが・・・
あいつ等に大佐と呼ばれる存在が・・・
『奴等は野望を達成するための駒に過ぎない・・・』
「駒・・・か・・・」
俺は空を仰ぐ
時は黄昏
あいつと奴の色が混在する空
「なあ・・・あいつ等を殺すのか?」
『奴等がおとなしくひれ伏さなければ・・・』
ひれ伏すだって?
お前の前に膝を着くあいつ等じゃない
「なあ・・・生きるにしろ死ぬにしろあいつ等を思い通りにできるんだよな?」
俺は《俺》に聞いた
『ああ・・・』
いやに自信を持つ声
『奴等だけではない・・・この星を始め宇宙全てをだ・・・』
「星?この地球か?」
『そうだ・・・その全てが私のものだ・・・
全てを手中に収め・・・私は神になるのだ』
狂った《俺》の声
俺は未だ見たことの無い宇宙からの地球を思い浮かべる
青い
蒼い
惑星<ほし>
「なあ、全てが手に入ったら欲しいものがある」
『何が欲しい?この星か?』
嘲笑うような声
「この星?そんな大きなものはいらないさ・・・俺は・・・あいつがほしい・・・」
俺がカードで示した先には
いつの間にかいなくなった紅を
追い求めるように空を仰いでいる蒼
『あの<英雄>か?』
声が嗤う
「生死は問わない・・・だけど全部手に入るならあいつは俺にくれ・・・」
『ふははははっ!いいだろう!!』
声が大きく笑った
『あのように小さきもの・・・くれてやる・・・』
声がそう囁いて消える
小さい?
あいつが?
お前は馬鹿だ・・・
あいつがどれだけ大きいかを知らない・・・
あいつは蒼の天使
この世界の守り神
そして・・・
俺の蒼い星だ・・・
あとがき
でたスパックス発作(自爆)
前半と後半で書いた時期が微妙にずれてるんで
少しおかしいところもありますがお許しくださいm(_ _)m