━━━魔女は王女様に呪いをかけ
     王女様はイバラで覆われた城で━━━━


「100年の眠りにつき王子様の現われるのを待ちました・・・か」

“眠り姫”

何十回と孤児の子供たちに読み聞かせた絵本
その内容を諳んじながら青い髪をした妖精は苦笑した

ここはユグドラシル
根元に「お姫様」を眠らせた
「お姫様」のための茨の城
100年という永遠の出口を待つ「お姫様」の寝室だ
「王子様を待って眠っていられたら・・・」

それはどんなに素敵なことだろうか

この城の「お姫様」は王子に呪いをかけて
誰も見れぬ場所へと封じておいて
自身が作り上げた国を投げ出して
茨の城に閉じこもっている

王子様を目覚めるすべさえなくして
ただ最低限の統治だけをして
夢さえ見ることもできない
永久に不眠の眠り姫

魔物を封じた檻のカギだけを握りしめ
寝たふりをしている「お姫様」

愛を囁くことも
涙を流すことも
夢を語ることも
遠い昔に置き去りにして・・・

血を血で洗う争いと
力を力で屈する圧政と
傷を傷で埋める現実に絶望して
夢幻の中に逃げ込んだ

妖精はその幻想的な姿と反するように
現実的な自嘲の笑みを浮かべる

あんなにも重く
いたんでいた胸を
たいした事じゃないと
いい捨てて
あらそいの中に身を置いた
いつまでもかなわぬ
しあわせと平穏に満ちた
あすを夢見て
いばらの道を
ただ歩き続けた
いつからだろうか
ぜつぼうに満ちた毎日よりも
ロボットとしての寿命が恐ろしくなったのは
きづかずに築いてきた
みるからに血まみれな道の先の
はるの来ない冬のような国
どこかで確信しているその冬の終わりをもたらせないまま
このままあっさりと終焉を迎えてしまうかもしれない自分が
にんげんとレプリロイドの溝をさらに深めたかもしれない自分が怖くなった


だから天使はここに体をうずめた
眠らずに見る悪夢を見届けるために
本当の平和が訪れる日を見るために


妖精は悲しげな表情で眠り姫のほほをなでた
自らの体であるそれは、奇妙な威厳さえたたえて
厳重に封印されている
この中にいたのが今にも消えそうなこの霞のような少年だと
知る者はほんの少ししかいない

妖精はにっこりとほほ笑むとそのボディの中に体を溶け込ませた

不眠症の眠り姫のほんの少しの安らげるとき

次目覚めたときにみえるのが、空ではない瞳の青だと願ったままで
御姫様はいつ来るやもしれない王子の姿を瞼の裏に浮かべながら
ただこの闇が終わる時を待っていた


その数日後・・・眠りから覚めた王子様と
再開するのは・・・また別のお話



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突貫工事ですいません
ブログにあった小説改訂版
真ん中部分は縦読みで真メッセージが判明します