騎士<ナイト>は誰だ!?






「あ〜疲れた〜」

「デュボアが暴走した時は一体どうなるかと思ったぜ」

「・・・」

「あんた達・・・
くつろぐならそんなところで固まってないで
奥の部屋にでも行けばいいだろ・・・」

マリノがあきれ果てたように言った



エックスの部屋・・・スカイルームへの転送ゲート

その周りに3人は陣取っていた

1番不機嫌そうなのは・・・

紅き剣士、ゼロである

先程のミッション後半で合流したばかりの彼

最初この島に来た際エックスと別れた状況が状況だけに
積もる話もあるだろう・・・

しかしそれを許さないのは
お子様ハンター・アクセルと謎の賞金稼ぎ・スパイダー

エックスとゼロが2人きりの雰囲気を味わっている時に
ことごとく、エックスを独り占めにさせまいと邪魔をする

お人好しのエックスは全くといっていいほど気にしていないが
相手のゼロと言えば不機嫌そのものだった

『ゼロ!』

一瞬ゼロの通信機から空へと昇った少年の声がする

「エックス?」

通信機のスイッチを入れると・・・

そこにはショートパンツに着替え

上半身を剥き出しにしたままのエックスの姿

シャワーを浴びた直後なのか蒼い髪にタオルがかかっている

湯上りだから当然なのだが

潤んだ瞳と火照った頬が妙に艶っぽい

「あ〜!!ずるい!!僕の通信機は電波障害で繋がらないのに!!」

アクセルがゼロの肩越しに通信機を覗き込む

「エックス、どうかしたのか?」

ゼロは肩に飛びついた状態のアクセルを無視してそう続けた

「どうしよう・・・ゼロ・・・
転送ゲートシステムが・・・
壊れちゃったみたいなんだ」

エックスの瞳がさらに潤んだ


「点検してみたのですが・・・
こちら側のシステムには全く異常はないようです」

ナナがそう言って
スカイルームへの通信構造をスクリーンに映した

「おそらく、こちら側からの転送には問題はないのですが
あちら側の配線異常でこちらに戻って来れないのだと思います」

「なるほどな・・・」

「誰かが向こうに機材を持って回線を元に戻すしかありません」

ナナはそう言い、修理道具の入った小さな袋を取り出す

「ただ、あちらの回線との影響が出ているので・・・
こちらから転送できるのは1人だけです・・・」

「なら僕が行くよ!」

「いや・・・俺が・・・」

アクセルとスパイダーがそう言い争いをしていると

「あ、ゼロさん・・・」

「俺が行く」

言うが早いがナナの手から道具を奪い、
オペレート用のマイク付ヘッドホンを付けると
ゼロは転送装置を起動させる

『あっ・・・』

素手の殴り合いをしていた2人の間の抜けた声とともに
ゼロの姿は光に溶けてゆき・・・
次の瞬間、真紅の影は空間から消えた

「転送システム、回線ダウン確認」

『ナナ、スカイルーム転送完了、どこを直せばいいのか教えてくれ』

正面にある大きなスクリーンにゼロが映し出される

「まず・・・配線部分を探してください・・・」

ナナが配線部分の隠されている個所を告げた

『ゼロ、手伝おうか・・・?』

先程の格好に薄いシャツを羽織ったエックスの姿がスクリーンに映る

『ああ、たのむ』

そう言って初めて気がついたのか
ゼロはアーマーに解除コード入力する
と・・・紅いアーマーが消え失せ代わりに
整った顔立ちを持った青年が映し出される
その冷たい美貌はたとえるなら『美麗の氷像』
美形だがどことなく近寄りがたい雰囲気が漂っている

『ナナ、回線部分を発見したオペレートを頼む』

「・・・」

美貌の気迫に圧されたのか呆けているナナ・・・

『ナナ・・・?』

ゼロが訝しみ、再度名を呼ぶと、彼女は慌ててオペレートを再開した

「す、すいません、まずカメラを配線の様子を移していただけますか?」

声の直後に切り替わる映像
幾重にも連なる色鮮やかな配線

「やはり・・・ゼロさん、左から2つ目の青い配線・・・
いえ、それではなく・・・はい、それです・・・
次は・・・」

テキパキと指示を送るナナ
それに順応したスピードで作業をするゼロ

「あ〜腹立つ〜!!なんなのさ!!いっつもゼロばっかり!!!」

「とんだお邪魔虫だな・・・
折角運命の赤い糸の両端が巡り会えたってのに
その糸を切っちまうような奴がいるとは・・・」

「誰と誰が赤い糸の両端?」

額に青筋を浮かべてバレットを彼に向けるアクセル

「俺とエックスに決まってるだろう?クソガキ」

そしてその首筋にカードを突きつけるスパイダー

「エックスは僕のだって言ってるでしょ?」

「あいつは俺の天使だ」

弾け合うのは熱い火花

『ゼロ、違うよ、ナナが言ってるのはこの配線だよ』

その火花を消した消火剤
それは他でもないエックスの穏やかな声だった
決して彼等2人には向けられない
心からの信頼がこもった声

敵意のこもった視線はスクリーンの向こう側

金髪碧眼の青年に向けられる

『この配線とこの配線を繋げばいいんだな?』

低い声がこちらに問い掛けた

「はい、それでそちらからこちらに転送する回線は復旧するはずです」

配線がつながれる、
同時にサイドスクリーンに映し出された
転送システムの簡易図の回線の一方がオールグリーンを示す

「残るはそちらの・・・はい、それです
その2つを繋ぎ合わせればこちらからの転送も再開できますので」

ナナがオペレートを終え、ヘッドフォンを外す

しかし、画面の中の手は2つの回線を持ったままそれを繋げようとない


カメラがゼロを映し出す

その背後にいる蒼の天使と共に・・・

『ゼロ?どうしたの?』

優しい声が彼を背後から呼ぶ


と・・・


画面の中のゼロが不敵に笑んだ

それは画面越しに敵意を向けた2人に宣戦布告をするかのように

そして・・・

次の瞬間その腕の中に細い体が納まっていた

『ちょ・・・ちょっとゼロ・・・』

慌てて彼の動きを制そうとしたエックスの言葉も空しく
その淡い紅の唇はゼロのそれに食まれた

「あ”あ”あ”!!!」

大きく叫ぶアクセル

「やりやがったな・・・」

ガーネットの瞳でキレた眼差しを向けるスパイダー


しかし画面の向こうではその行為だけに留まらず
ベットの上へと天使を押し倒しているゼロの姿

そして次の瞬間


プツン


そんな音を立てて画面が漆黒に染まり、音声が消える

それが意味なすこと・・・それはつまり・・・

「目の前で見せ付けてくれるとはいい度胸だな・・・」

昏い画面に向けカードを構えるスパイダー

「絶対許さないもんね・・・」

アクセルもバレットを画面に向けた



その頃天上では・・・

天使は愛する騎士に抱かれながら

悲しみではない涙を流していた



後書き

リクエストを下さった十一月様に捧げます
あわわわわ
無事エックス争奪戦になっていたでしょうか
最後はゼロックスで終わっちゃいましたが(汗)
お気に召さなかったら申し訳ないです








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