< 082.また逢えたね









奇跡は3度も起こった



カウンターハンター事件の時
ナイトメア事件の時
そしてネオ・アルカディアで・・・





だからもう・・・僕は十分

僕は幸せ


君と最後に触れ合って

君と最後に語り合って

君と最後に託し合って



君と最後に・・・愛し合えて








「エックス・・・」

逝くなとなぜ俺に言える・・・

運命に身を委ねて

運命に引きずられるままに

こいつを孤独と不安の中に置き去りにした俺が・・・

紡ぐ言葉が続かない

100年の間にやつれて細くなった体を抱きしめても

その感触が・・・風に紛れはじめていた

置いていくことに慣れた俺が

今度はただ置いていかれるしかないのか・・・?




最初に崩れたのは足だった

ホログラムとプログラムが壊れていく

僕を作り上げていた『ゼロ』と『イチ』の数字の羅列が壊れていく

魂などない僕に待つのはただの闇だけ

それならばせめて思い出だけは残っていてほしいのに・・・



走馬灯のように僕の中を駆け抜ける

けれどその記憶も

出会った時、君はなんて声をかけてくれたっけ?
レプリフォース大戦の後、僕と君がした約束って何だっけ?
君は何故、僕を置いて100年も眠っていたんだっけ?

そんな風に消えていく

ただ忘れられないのは・・・



もう少しその笑顔を見て痛いと手を伸ばしても
おまえの崩壊は止まらなかった

一人で逝くなと泣いたおまえが
今度は一人で逝くのか?


俺のように浸って戻れる死の浅瀬ではなく


ただ闇だけの死へ



最後に感じたくて触った金の髪

艶やかで美しい長い髪

戦場での君の目印




後は君に任せたよ



そう願う声だって今はノイズにまみれて

君に届いているのか心配になるくらい


神様・・・もう少しだけ・・・

2人の時を許してください・・・


血まみれの両手で祈る僕を

僕の願いを

もう少しだけ・・・許シテクダサイ




エックス・・・

触れていた手が霧散する

白い頬に触れても

もう温もりさえ感じない

抑えられないのは怒りと憎しみ

こいつをここまで追い詰めた人間達への負の感情

それをとめたのは天使の淡い願い


あとは君に任せたよ


俺が言った過去に言った同じ願い

今はお前が言って消えてゆく

のしかかるのはおまえを一人にするべきではなかったという

懺悔と後悔

折角再会したのに2人の時間など持つこともできずに

また俺達は引き裂かれていくのか?

俺達ではない誰かの意思によって




君がそっと口付けてくれた

死と言う時の鐘の鳴る中

王子様の口付けをもらったシンデレラ

幸福に浸る時なんて

もう残ってもいないのにね・・・


今度もし生まれることができたら

女の子になりたいな

そして君に言いに行くんだ


「また逢えたね・・・」










「愛してる」って




エックスが微笑んだ

すべてから開放されて重みを失った笑みが

今まで見た笑顔の中で一番美しかった


その美しい笑みのまま


俺の中でただ淡い電子の群れになったお前の


その小さな夢を最後まで叶えてやれなかった



もしも望む楽園ができたなら

お前は帰ってきてくれるのか・・・?







ゼロが泣いてる・・・

ただ“俺”を叫ぶように呼んでくれている

ゼロが泣いているのを見たのは・・・

きっと初めて

そしてエックスとしてみる涙はこれが最後






ゴメンね・・・




今度は“俺”が約束を破ったみたい

でも

安心して“俺”も“僕”も君の中で生きているから










エックス

今すぐ帰って来いとは言わない

俺は楽園を作ろう

その楽園が完成したら




お前は俺の元にだけ帰って来い



お前はただ俺の腕の中で安らかに微笑んで


100年の時の狭間を埋めれるように




久遠の時を俺と生きろ





お前がくれた約束を


果たしてやるその代わりに・・・



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