060.夜這いの星






彼はゆっくりと目を開いた

宇宙空間に輝く星の光が窓から差し込んできている

そんな青白い光の中、眼前にたたずんでいる影が最初に飛び込んできた

「あ、ごめん・・・起こしちゃった?」

聞き慣れた声が頭上から響く

「エッ・・・クス・・・?」

愛しい者の名前を呼んで彼の顔の位置まで視線を上げ・・・

「・・・・・・・・・!?・・・・・・・・」

エックスの姿を見て彼は覚醒した

「お前・・・その格好・・・」

吹き飛びそうな理性を抑えてそう呻く

「エイリアに・・・」

彼が着ていたのはいつものハンターベースの制服ではなく
淡い紅の薄いレースのワンピースだった

膝立状態でこちらを見つめているので下はともかく、
男性にしては白くほっそりとした上半身が完全に透けて見えている

「エイリアとちょっとゲームしてたら・・・負けちゃって・・・そしたら・・・」

真っ赤になってうつむく彼、そしてさらに言葉を続ける

「罰ゲームに、この格好でゼロのところに行けって言われた・・・」

「・・・その格好で廊下歩いてたわけじゃないだろうな・・・」

思わず問うゼロに彼はこくこくと頷き、否定する

「ここで着替えさせられたから・・・」

そう恥ずかしそうに呟いて彼はさらに俯いた

「しかし・・・なんてもの着せて・・・」

ゼロは思わず視線をそらす

これ以上彼を見ていては理性が持たなかった

しかしそんなことを知ってか知らずか・・・

エックスの碧玉の瞳がゼロを見つめる

「ごめんね・・・起こしちゃって・・・」

そう言って仰向けのまま寝そべっているゼロの頬を白く細い指が撫でた

「・・・エックス・・・」

思わずその手をとりそちらを向くと
恥じらいを浮かべた表情でなおも彼を見つめている

その目を見つめたまま体を起こし、腰に腕を回すと一瞬体が強張った

「お前・・・まさか・・・」

するりと背後に手をやると、柔らかな肌の感触がレース越しに伝わってくる

「罰ゲームついでに夜這いに来たのか?」

静かに膝の上に抱き寄せてそう耳元に囁いた

「な、ちがっ・・・エイリアが・・・」

「あの女・・・何考えてやがる・・・」

必死に言い訳してくるエックスの表情から察するに・・・

彼女がすべての衣類を剥ぎ取ってこれを着せたのだろう

「・・・エックス・・・」

静かに名前を呼んでやると潤んだ瞳がこちらを見上げてくる

欲情を誘うその仕草を本人は気付いてやっているのだろうか・・・?

形のよい唇に自らの唇を重ねながらゼロは思った

「んっ・・・」

口付けは感受され、
そのまま激しく貪っても柔らかな舌は拒絶するどころかそれに答えてくる

「ふっ・・・ん・・・」

いつもよりも甘い声をあげた相手をゼロは見つめる

顔が真っ赤に染まったまま、エックスは何かに陶酔しているようだった

唇を離すと先ほどとは違い欲情に潤んだ瞳が見上げてくる

「ごめ・・・きょ・・・俺・・・へんっ・・・」

頬が紅いのはどうやら恥じらいのせいだけではないらしい

「おまえ・・・なにかエイリアに飲む物か食べる物貰わなかったか?」

1つの可能性をゼロはそう問うた

エックスは一瞬戸惑ったものの、こくりと頷く

「エイリアじゃないけど・・・ダイナモに・・・甘い・・・
チョコレートみたいなのを食べさせられた・・・けど・・・それが?」

「それだ・・・」

思った通り・・・エックスのこの症状から言ってそのチョコレートの正体は・・・

・・・・催淫剤・・・

「たぶん・・・媚薬だな・・・」

薬の名前を呟くとか細い背中がピクリと跳ねた

「その様子じゃ・・・まだ効きはじめらしいな・・・」

蒼い髪をすいてやりながらゼロはそう告げた

「これより・・・ひどくな・・るの・・・?」

怯えるように見上げてくる少年の頬に彼は口付ける

「安心しろ・・・付き合ってやるから・・・」

「そ・・・じゃ・・・なくて・・・」

悲しそうだが欲情に染まった瞳が蒼いゼロの瞳を映した

彼は体勢を入れ替えるとそのままエックスをベッドの上へと押し倒す

「・・・ゃぁ・・・」

レース越しに白い胸板に吸い付くと甘ったるい声が響いた

「ぁ・・・ふっ・・・ん・・・」

舌先で突起を転がしてやると
エックスは声を漏らしながら身をよじって逃げようとする

しかし、うっすらと開けられた瞳は何か懇願するような眼差しだった

どんな男の理性でも完全に吹き飛ばせそうな妖艶さに、ゼロも思わず息を呑む

「や・・・だっ・・・」

辛うじて出した意思ある声ももはや欲情を煽る言葉にしか聞こえなかった

「あっ・・・」

白い肌を強く吸うと深紅の華がそれに宿った

僅かな痛みに一瞬こわばった顔も快楽を露わにするものへと変わる

ゼロが調子に乗って鎖骨に下を這わすとエックスは自らの手で口を塞いだ

「・・・んっ・・・」

快楽に溺れた声が漏れる

「声・・・聞かせろよ・・・」

必死に声を押さえようとする少年の手をはずしてやると恥ずかしそうに視線をそらした

「ゃ・・・だ・・・お・・・れ・・・ふつ・・・じゃないから・・・」

懸命に手を振り払おうとするその仕草が愛らしい

「こんな・・・おれ・・・ぜった・・・・へん・・・だか・・・ら・・・」

熱い吐息混じりにそう呟く彼の瞳から大粒の涙が溢れ出した

「安心しろ・・・変じゃない・・・薬のせいだ・・・」

「でもっ・・・」

蒼い瞳を不安気に見つめてくる大きな瞳が宝石のように輝く

「こ・・・んな・・・・俺・・・み・・・たら・・・ゼロ・・・俺の・・・・こと嫌いに・・・」
「絶対ならない」

ゼロは白く細い指に口付けてそう誓った



どうしてこの少年はもっと自信を持たないのだろうか・・・

これほど美しく清らかな存在の強さも弱さも喜怒哀楽という感情も・・・・

何もかも全てを手中に収めて喜んでいる自分がいるというのに

望まぬ薬の効力で乱れるだけで2人を繋ぎとめた絆が壊れてしまわないかと

不安にその心を揺らめかせているのだ・・・この少年は・・・・



「ほん・・・と・・・に・・・?」

薬が回ってきたせいで欲望という慣れないものに流されながら彼は真剣に問うてくる

「ああ・・・お前がいやだと言っても離れないから・・・安心しろ」

そう言って口付けを交わそうと顔を近づけた

すると不安に潤んでいた瞳はゆっくりと閉じられ、その美しい体を委ねてくる

安堵という表情をその顔に映して・・・

唇を貪ると先ほどよりも激しく舌先が答えてくる

「ふっ・・・ぁ・・・・ん・・・」

いつもより激しい欲望の波にのまれているのが伝わってくる深い口付け・・・

そしてその最中に幾度となく漏れる享楽に満ちた声・・・

ゼロはゆっくりと薄い服をたくし上げ星明りの中にその真白い肌を露わにする

そして唇が離れるとたくし上げたそれを床へと落とした

まるで天女の羽衣でも奪ったかのような気分に陥る

互いの口腔から唾液が糸を引いていたがゼロは気にも留めなかった

青白い光の下で胸元を見つめると

先ほど付けた所有印が白蝋の肌を淫靡なものへと変えている

「きれい・・・だな・・・」

「よ・・・ろこ・・で・・いい・・・の・・・?」

そう訊いてくるもののその顔は嬉しそうに笑んでいた

それを見ると、ゼロは唐突に胸板に唇を寄せ、突起を口に含む

「ひゃ・・・ぁっ・・・ぁ・・・あ・・・ああ!!」

真っ赤に熟したそれを口腔で弄ぶと、彼は体をのけぞらせて嬌声を上げた

細い指をゼロの頭に食い込ませ、必死にその愛撫から逃れようとする

しかし、意思に反し時折歯で刺激してやると体をしならせ肉体は愛撫に応え始めていた

その様子をみて舌先での弄虐はますます強くなってゆく

そして・・・

「あ・・・・ふっ・・・んっ・・・あ・・・ぁあああ!!」

一際、大きく快楽に染まった声が響くと触れてもいない彼自身から白濁が溢れ出した

「はぁ・・・はぁ・・・」

顔を真っ赤に染めて荒い息をつく姿はいつも誠実な彼とは思えないほど卑猥で・・・

「気持ちよかったか?」

そう尋ねると恥ずかしそうに視線を逸らし、無言のまま吐息だけが大きく響いた

胸をいじられるのを何より彼は嫌う

女性のように扱われているのを意識するようでその行為を何度も差し止めてきた

差し止めきれなかった事も数あるが・・・

「体・・・熱くなってきてるな・・・」

滑らかな肌を指先で堪能しつつゼロが言った

いつも抱く体の熱が今日は数段熱く感じられる

「つらいか・・・?」

その言葉にゆっくりと頷くとエックスは快楽と悲痛の入り混じった涙を流した

自然ではない欲望の起こり・・・

享楽に身を浸すことの無い純潔な彼にとってこの薬は相当な苦しみを与えるだろう

「安心して・・・力抜いてろ・・・」

再び頷くのを確認してからゆっくりと両腿を持ち上げた

光の元に照らし出された秘所は紅く色好き、いつに無く淫らさを増している

するりとそこに指を這わすと、体がびくりと跳ねた

「怖いか・・・?」

いまさらのような気がするが、薬の効果が徐々に効いてきている今

それが示すのは享楽に落ちるということだ

「怖・・・い・・・けど・・・この・・・ままも・・・怖い・・・」

縋るような瞳で見つめてくるとそう答えが返ってくる

「安心しろ・・・どんなに乱れても・・・歓迎してやる・・・」

ゼロはそう言って口付けるとそっと指を忍び込ませた

いつもより熱く解けた蕾は抵抗も無く指を飲み込む

続いて2本目の指もそこへと飲み込ませると指をバラバラに動かして内壁を掻き分けた

「ぁ・・・ひゃ・・・あ・・・くっ・・・ぁ・・・あぅ・・・」

感じるところばかりを掠める指に、途切れ途切れに享楽に染まり始めた声が漏れる

「きゃぅ・・・」

内壁にある1点を指先が突くとエックスが甲高い声をあげた

ゼロはそこをさらにぐりぐりと押してやる

「ゃ・・・や・・・やぁあああ!!!!」

これまでに無いほど体が大きく跳ねた

いつしか勃ち上がっていたそれからまた白濁した液体が溢れ出した

「いつもより感度いいな・・・」

「いわ・・・な・・・でっ・・・」

ゼロの胸に黒いタンクトップ越しに回される白い細腕

幾度となく世界を救ったそのか細い腕は

彼が少し力をいれて握れば粉々に砕けてしまいそうだった

片方の腕で背中を抱き、指を引き抜くとゆっくり自身を挿入する

「っ・・・はぁっ・・あっ・・・」

指よりも大きな質量に華奢な体が仰け反った

「っ・・・エック・・・ス・・・」

熱を持った肉壁がゼロ自身を包み込む

「やぁ・・・ひゃっ・・・ん・・・ゼ・・・ロぉ・・・」

懸命に腕に力をこめて抱きついてくる彼をゼロは抱えたままベッドに座り込む形を取った

「きゃ・・・ぁ・・・」

自らの重みで深まる交わりにエックスが喘ぐ

「ひゃぁああ・・・ぁん・・ふっ・・・ぁあああ・・・」

軽く腰を揺さぶってやると、彼の背に回されていた腕から力が抜け去った

「はぁ・・・ふぅ・・・ん・・・」

熱に浮かされるかのような声がただひたすら口を突いて出てきた

「あぅっ」

先ほど指で弄んでいた1点を突きあげると前のめりに倒れこんでくる

全身の体から力が抜け、重みによりさらに接合が深くなった

理性の輝きを灯したエメラルドの瞳から徐々に意志の光が消える

内壁が女を思わせるほどに淫らに蠢いた

「エッ・・・クス・・・?」

いつもとの落差に言葉を失っていたゼロが耳元で名前を呼ぶ

「んぁ・・・」

快楽と享楽に浸りきった顔がこちらを見上げてきた

閉じることを忘れた口内からは大量の唾液が溢れ出し、淫らさを強調する

その顔に魅入っていると下から唇を貪ってきた

決してエックスが自ら与えることをなさなかった深く甘すぎる口付け・・・

それは今のゼロを陶酔させるには十分すぎるものだった

「ちゃん・・・と・・つかまって・・・ろよ・・・」

彼の内壁から与えられる快感に酔いながらゼロはエックスに囁く

理性と言う名の型が外れた彼は素直に首に腕を回してきた

それを確認してから腰を進めてゆく

「ぁあっ・・はぁっ・・・ふぅ・・・んっ・・・」

耳元で甘美に響く享楽に染まった喘ぎ声・・・

自らも腰を動かして、快楽を得ようとしているのがわかった

普段ならば決してしない淫らな行いに耽る彼は妖艶で・・・

「く・・・・ぁ・・・あっ・・・はぁ・・・」

ゼロの背に流れる金糸を手に絡め必死に縋りついて来る

「エッ・・・クス・・・?・・・」

飛びそうになる意識の中でゼロが名前を呼んだ

すると腕を首から放し、肩に手を置くとそれを支えにこちらに顔を向けてくる

「っ・・・」

思わずゼロは絶句した

上気し紅く染まった頬

乱れてそれに張り付いた蒼い髪

欲情とそれによる快楽に潤んだエメラルドの瞳

そして・・・

享楽に堕落した妖艶な笑み

それがこちらに向けられている

意思という光を失っているのは鈍く輝いた瞳で理解できた

しかし、それでもたまらずに腰を突き上げた瞬間

「ゼロ・・・ッ・・・ゼ・・・ロォォ!!」

必死に自分の名前を叫びながらエックスの体から力が抜け去り、欲望の蜜が溢れ出した

「っ・・・くっ・・・」

熱い内壁の誘いを受けるようにゼロも自身を放ち・・・

そのまま意識を闇へと落とした



「んっ・・・」

ミラー反射によって屋内に差し込むようにされている太陽の輝きに、ゼロが目覚める

2人で抱き合ったまま・・・接合を解かずに眠りに落ちてしまったらしい

体を起こしエックスから自身をゆっくり引き抜くと、彼の体をそっと横たえてやる

「・・・オーバーヒート・・・してるな・・・」

シーツをかける瞬間に、白い体に触れると信じられないほどの熱が伝わってきた

人間の疲れによる発熱と同じようなものなので2・3日もすれば治るだろうが・・・

「うぅっ・・・」

苦しげに碧の瞳が開かれると太陽の輝きと眼前の恋人の姿が映される

「ゼ・・・ロ・・・?」

「どうかしたか?」

ゼロは髪を撫でてやりながら問うた

「シャワー浴びたい・・・」

そう完結に答えゼロを見上げてくる

「おい・・・まさか・・・動けないのか?」

今までも数度オーバーヒートを起こした・・・厳密に言うと起こさせたのだが

動けないことは1度も無かった・・・今回はよほど深刻なのだろう

「メディカルルームに行くか?」

「絶対嫌・・・」

肌には無数の情事の痕が紅く色づいているのだ・・・

こんな姿で治療を望めばオーバーヒートの原因は明白である

「シャワールームまで運んでくれたらいいから・・・」

「わかった・・・」

ゼロは力無く横たわっている細い体をシーツごと抱き上げた

そしてそのままエックスをバスルームへと運んだのだった



「下ろすぞ・・・?」

「うん・・・」

返事を待ってゼロはかなり大きめのバスタブの底にエックスを横たえる

シーツを剥いで顔が浸からない程度に湯を溜めてやると

エックスは気持ちよさそうにその湯に体を任せた

ゆっくり目を閉じ、体を水に投じているその姿はまるで彫像のようだった

「エックス・・・?」

「・・・何・・・?」

名を呼ばれて彼はゆっくりと目を開き、返事をする

最もそれ以外のことは何も出来ないのだが・・・

開いた視界に心配そうに自らを覗き込む瞳が映った

「いや・・・おまえがそのまま目覚めないんじゃないかと思ってな・・・」

「大丈夫だと・・・思う・・・・」

深めの浴槽の底から彼は微笑む・・・

「でも・・・体・・・全然動かない・・・」

腕に力をいれようとするが感覚が麻痺してしまっている

声を出すのがやっとの今・・・1人で体を清めるのは難しいだろう

「体・・・洗ってやる・・・」

「お手柔らかに・・・」

そう笑んだ彼の体をゼロは優しく抱き上げた



「体・・・本当に動かないんだな・・・」

ボディーソープを含ませたタオルを、エックスの腕に滑らせながらゼロが言う

か細く白い腕からは力が抜けていて、まるで人形のようだった

「うん・・・」

エックスは言葉だけで肯定する

ゼロはするりとスポンジを紅い花の咲いている胸板へと滑らせた

「っ・・・」

それまでピクリとも動かなかった身体が膝の上で跳ねた

「エックス?」

「なんでも・・・ない・・・」

彼は訝しげに思いながらもその白い肌を磨いてゆく

上半身を全て終えると彼はエックスの瞳を覗き込んだ

「中・・・出すぞ・・・」

「う・・・うん・・・」

戸惑いながらもそう返事をした彼の足を床へと下ろすと

膝立てをさせる様に上半身をゼロの膝に預けさせる

「指入れるぞ・・・」

「あっ・・・」

未だ残滓でぬめる蕾に2本の指は、水に濡れたような卑猥な音を立て簡単に侵入した

中で指を鍵状に折り曲げそのまま掻き出すように2本の指を動かす

「ぁっ・・・んっ・・・」

唐突に漏れた甘い声にゼロはエックスを見た

下を向かされている頬が赤く高揚しているのが見て取れる

「おまえ・・・まだ・・・薬が効いてるのか・・・?」

そうゼロが問うと、エックスが苦しげに答えた

「う・・・ん・・・そ・・・みた・・・あっ!」

指が昨夜と同じ一点を掠めた途端、甘い快楽に満ちた声が響く

中に残っているものを掻き出そうとする指の動きが徐々に甘い声を引きずり出して行った

「ふっ・・・あっ・・・あ・・・はっ・・・」

快感に閉じることの出来なくなった唇から唾液が滴り落ちる

唐突に蕾に指を含ませたままゼロはエックスを膝の上へと戻した

そして片足を自らの首筋にかけさせ、蕾を露わにする

「やぁ・・・」

見られる羞恥心と体位が変わり、敏感な場所をえぐった指先にエックスは身悶えた

「ふっ・・あ・・・ぁっん・・・」

指が再び動き出すと、そこを清めようとシャワーから勢いよく湯が降り注ぐ

それすらも享楽に浸る引き金になる彼は、動かぬ体を震えさせた

「きゃ・・・ぁ・・・あ・・・・ぅん・・・あぁ・・・」

しかし身体は彼の意思とは反対に動く

蕾は清めようと動く指を飲み込もうと絡みつき

胸板の突起は触れられることを望むように硬くしこり、赤く色付いている

さらに自身の欲望は蕾への刺激だけで勃ち上がっていた

「ゼ・・・ロォ・・・もっ・・・やだ・・・」

縋るように見上げる瞳は欲情に潤み、続く弄虐を夢見るようだ

「も・・・っだめ・・・」

ある一点を指が強く抉り取るように突き刺した

「きゃ・・・ぁあああああああああ」

ひときわ大きな声をあげ、彼は白濁の蜜で清められたばかりの腹部を汚す

「大丈夫か・・・?」

「はぁ・・・はぁ・・・おねが・・・ゼロ・・・」

続く言葉を悟ってゼロは首を横にふった

「だめだ・・・お前の身体がもたない・・・」

いつもなら理性を吹き飛ばされる彼も、エックスの動かぬ四肢を見やり、懇願を拒絶する

「この・・・ままじゃ・・・もっと・・・つら・・・から・・・」

「だめだ・・・」

辛そうに微笑む彼にもう一度首を横に振った

指を体内から引き抜くと、エックスの体を元通り膝の上へと戻す

そして汚れたばかりの腹部を洗いながした

エックスの身体は力も色も失い・・・

機械人形だということを実感させるようなものになっていた

「ゼ・・・ロ・・・」

苦しげに名を呼ばれゼロは慌ててエックスの顔を見る

上気したままの頬だけが身体の中で唯一の色を持っていた

「やっぱり・・・俺・・・のこと・・・嫌いに・・・なった・・・?」

欲情で潤んでいたはずの瞳がいつしか悲しみに染まっている

上気していた頬すら徐々に青ざめていった

「違う・・・これ以上お前の体に負担をかけたくないだけだ・・・」

「なら・・・お願・・・い・・・」

恥ずかしそうに瞳を伏せつつそうエックスが言う

「このままじゃ・・・もっと辛い・・・」

縋るような声にゼロが最後にもう一度問うた

「本当にいいのか・・・?」

その声にエックスは辛うじてだが、力強く頷く

「お願い・・・抱いて・・・ゼロ・・・」

甘美な誘惑に満ちた声が・・・

ゼロの理性を吹き飛ばした・・・



「は・・・ふぅ・・・ん・・」

感覚のあるはずのない体から性感だけが感ぜられる

その快楽に陶酔してしまうのがいつもは心苦しく感じるのだが

今日は酔わずにはいられなかった

身体から湧き上がる欲望が、体を抱いてくれている愛しい人を求めだす

「ふっ、ぁ、あ、くっ・・・」

胸に施される愛撫が力を増した

思わずそれから逃れようとするが、体が動かない今、それは顔を背けただけに終わった

いつもなら逃げて途切れ途切れになる快感が永遠かとも思えるほど長い時間続いた

くちゅ・・・という卑猥な音が胸元で響いている

「はぁ・・・っ・・・ふっ・・・」

彼の唇からは今や唾液と甘い吐息と享楽に浸った喘ぎ声しか出てこなかった

白い体を愛しい人に預けたまま、エックスは自分が堕ちてゆくのを感じていた

世界に・・・平和を・・・

それこそが自分にとって幸せだと思っていた

しかし・・・

(こうやって君といることが・・・本当は・・・)

そばにありすぎて・・・わからなかった・・・

無くなった途端・・・自分にすごく悲しみを与えた・・・

だから・・・望まなくなっていた・・・

望んではいけないと思っていた・・・

また彼がいなくなってしまっても・・・

相手にも自分にも負担にならないようにと・・・

しかし・・・

(・・・2人でいる時間が・・・いられる時間が・・・幸せだったんだ・・・)

今更だがそう気付いた

快楽によってほかに何も考えられないからかもしれないが・・・

世界がどうなろうとゼロがいればいいような気がしてきた



「あぁっ・・・」

今まであげたことのない甘い思いを含んだ声が彼の口を突いて出た

「エックス・・・?」

「ゼ・・・ロォ・・・」

愛しげに名前を呼ばれて彼はどきりとした

今まで思いのこもった甘美な声で自分を呼んでくれることなど1度もなかったのだ

いつもどこかこらえたような、悲しげな声で名前を呼ばれていたのだから・・・

「愛・・・してる・・・」

たまらずそう囁いてみる

返ってくる返事は今まで「好き」か「俺も」というものだったが・・・

「愛し・・・てるよ・・・ゼロ・・・」

蕩けてしまいそうなその声に欲情がさらに煽られた

柔らかな頬に口付けて、そのまま唇を滑らせ首筋に紅い印を残す

無防備な下肢に手を伸ばすと更なる快楽を追って体が跳ねた

素肌が擦れ合う感触が心地よい

「あぁ・・・は・・・ぅん・・・」

紅く潤った蕾に指を突き立てる

「きゃぁぁあっ・・・うっ・・・ふっ・・・」

熱く絡みつく内部を掻き荒らせば享楽に浸かった甘い喘ぎ声が紡ぎだされた

「あ・・・はぁ・・んぅ・・・き・・・て・・・ぁ・・・」

快楽の狭間で呟かれる誘惑

「き・・・て・・・・ふ・・・ぅん・・・ゼ・・・ロ・・・」

指を引き抜くと向き合う形で膝に据わらせた

お互いを1つに結ぶために・・・

「あ、ぁぁああ!!!」

動かなかったはずの体が仰け反る

しかしその顔は愛しい人に抱かれる悦びに蕩けそうだった

「エッ・・・クス・・・」

そう名を呼んで腰を進めると彼は体をそのまま体を委ねてくる

たまらず何度か突き上げた

「ぁん・・・ふぅ・・ん・・・」

白い喉に伝う透明な唾液が淫らさを増す

そして・・・一際奥へと突き進んだそのとき

「も・・・だめ・・・」

快楽に浮かされながらそう呟いてエックスは欲望を放った

ゼロも媚肉の享楽に浸りながら自身を解放する

エックスが意識を保っていられたのはそれまでだった



「う・・・ん・・・」

ベッドの上でエックスが目を開けるとそこには闇しかなかった

そばにいるはずの愛しい温もりもない

思わず飛び起きようとするが体の感覚がないのでできなかった

「ゼロ・・・?」

彼の名を声に乗せるが返事はない・・・

やはり愛想をつかされてしまったのだろうか・・・

意識は途切れ途切れになっている場所もあるが自分がどんなに乱れたかは自覚している

あそこまで快楽を追い続けて堕落したのだ・・・

彼が自分の淫らさに嫌気をさしても仕方がなかった

そう思うと頬を涙が伝う

(やっと幸せを見つけられたと思ったのに・・・)

悲しみのあまり目を閉じた

雫が途切れることはない

ただひたすら泣き続けた



それくらいの間そうしていたのだろうか・・・

いつの間にか泣き疲れて眠っていたらしい

そして夢の中でも泣き続けていたらしく頬が濡れているのがわかる

しかし、覚醒を促したのは先ほど感じられなかった温もりだ

「どこか・・・つらいのか・・・?」

低いハスキーヴォイスが耳元で囁く

夢ではないかとゆっくり目を開けると彼はそこに金と蒼の輝きを捉えた

「ゼロ・・・」

「どうした・・・?」

問い返してくる声は現実のものだった

「見捨てられたのかと思った・・・」

疲れの混じった安堵の表情を浮かべたエックスはもう一度瞳を閉じて焦点を定める

「そんなことはしないと言ってるだろう・・・」

ゼロは細い指先を自らのそれに絡ませ、覆い被さるように口付けをした

エックスの吐息からすでに甘い陶酔はなくなっているが

口腔を弄ぶと柔らかい舌がゼロの口腔へと返ってくる

しばらくの間互いを確かめ合った後、ゆっくりと唇を離し

ゼロは決して他人には見せない微笑をエックスに向けた

「ダイナモに薬のことを問い詰めてきた・・・」

「それでいなかったの?」

「ああ・・・」

白いシーツの上に舞い散っている髪を撫でてやりながら彼は肯定する

「とりあえず・・・後に残るような薬というわけじゃなさそうだ・・・
薬の効果ももう切れているはずだ・・・」

「うん・・・たしかに高揚感も陶酔感ももうないからね・・・」

エックスは瞳だけで彼を見上げて言葉を続ける

「でも・・・しばらく身体は動かせないよ・・・感覚が全然ない・・・」

「安心しろ、どういうわけかここ1週間、勤務シフトから外されている・・・俺もお前も・・・」

「エイリアだね・・・」

エックスはそう微笑んだ

彼女しかこんなシフトの組換えなど行える人物はいないのだ

「ねぇゼロ・・・?」

いつもより甘美な声がゼロを呼ぶ

「どうした?」

美術品かとも思える細い指に口付けながら彼は問うた

「ずっと一緒にいてくれる?」

真剣な眼差しがこちらに向けられる

「・・・ああ・・・」

彼は心の底からの返事をした

もしも自分の過去が・・・

過去に犯してきた罪が・・・

この傷つけたくない存在を傷つけてきた罪が・・・

自分の生まれた使命に背きつづけることが・・・

許されるのなら・・・

「永遠に・・・そばにいてやる・・・絶対に・・・離さない・・・」

一つ一つ紡ぐように、そして言葉の意味を強調するかのようにゼロは言葉を発した

「絶対だよ・・・」

疲れを纏っているが、幸せそうな笑顔が浮かべられる

「ああ・・・」

彼はもう一度口付けた、今度は指ではなく、赤みを帯びた唇に・・・

そして唇を離すとさらに笑顔は輝きを増した

「俺・・・一つ夢が出来たよ・・・」

エックスがゼロを光に満ちた瞳に映し、告げる

「どんな夢だ・・・?」

「それはね・・・」

笑顔はますます輝きと光を帯び・・・今まで宿していた愁いと憂いを吹き飛ばした

『平和な世界でゼロと一緒に暮らすこと・・・永久に・・・』

そう言って救世主の顔が自らをも救えた表情になる

鬼神と恐れられた戦場の武神はその言葉に、氷の面立ちに暖かな光の微笑を浮かべた


その姿はまるで・・・天使が2人降臨したような・・・神々しさが満ち溢れていた







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